ベンゾジアゼピンインフォメーションコーリション ー メディカルアドバイザリーボード
ベンゾジアゼピンは「抗不安薬」として知られている処方薬であり、スケジュールIV規制薬物のひとつです。ベンゾジアゼピンはしばしば不安、不眠、発作、アルコール離脱に対し処方されますが、むずむず脚症候群、筋けいれん、耳鳴り、認知症、躁病、アカシジアなど幅広く適応外処方で使用されます。一般的に処方されるベンゾジアゼピンとして、クロノピン(クロナゼパム)、アチバン(ロラゼパム)、ザナックス(アルプラゾラム)、バリウム(ジアゼパム)、オンフィ(クロバザム)、トランキセン(クロラゼプ酸二カリウム)、リブリウム(クロルジアゼポキシド)があります。
ほとんどの処方ガイドラインでは、ベンゾジアゼピンを2〜4週間以上連用しないことを推奨しています。ベンゾジアゼピンを長期間(2〜4週間以上)処方された患者は、かなりの割合で身体依存を発症し中止の際に困難します。患者がどれだけ離脱を望んでも、多くの人は離脱症状により精神的および肉体的に衰弱します。
患者が重篤な症状なしにベンゾジアゼピンから首尾よく離脱できるかどうかを、処方時または中止前に予測することはできません。一部の人にとっては、離脱プロセスは非常に長いものになり人生を変えてしまうことすらあります。医師と患者は利用可能な漸減方法について教育を受けることが不可欠です。このドキュメントで説明する方法は、臨床経験、研究調査、および多くの患者からのヒアリング情報を元にして作成されました。
処方による身体依存はアディクションではありません。身体依存をいわゆる依存症(addiction)として扱うことは、強制的または急速な減薬指導につながることがあり、患者に傷害を及ぼすことになり危険です。詳細については、次を参照してください。
FDAは2019年9月のガイダンスで、身体依存、アディクション、乱用の違いをはっきり区別しています。
Drug Abuse and Dependence Section of Labeling for Human Prescription Drug and Biological Products
「身体依存はアディクションと同義ではありません。患者は薬物に精神的には依存しておらず(having an addiction to the drug)身体的に依存している(physically dependent)可能性があります。同様に、乱用はアディクションと同義ではありません。耐性、身体依存、および離脱症状はすべて特定の薬物による慢性治療の結果、予想される生物学的現象です。これらの現象自体は依存症(addiction)の状態を示すものではありません」
さらにDSM-V(精神障害の診断および統計マニュアル)には次のように記載されています。
「“身体依存(dependence)”と“精神依存(addiction)”という用語は簡単に混同されてきました。定義された身体依存(dependence)による耐性と離脱症状は、中枢神経系に影響を与える処方薬に対する非常に正常な反応であり、それがそのまま依存症(addiction)の兆候を示すということにはなりません」
離脱症状を発生させる根本的な身体的変化は不明なままです。 1つの仮説は、ベンゾジアゼピンがGABA-A受容体における神経伝達物質GABA(ガンマアミノ酪酸)の機能を増強するため、ベンゾジアゼピン長期使用はGABA受容体をダウンレギュレートさせ、ベンゾジアゼピン中止後、時間をかけてGABA受容体をアップレギュレートする過程で発生するというものです。GABA受容体は体全体に存在し多くの役割を果たします。 体の中枢神経系とストレス反応における重要なものです。
一般的な漸減方法は、ベンゾジアゼピンの投与量を毎週1/4から1/2ずつ減らすものです。この方法では漸減は数週間で終了します。一部の医師はこれを段階的な減少と見なすかもしれませんが、経験豊富な研究者、医師、患者、および処方ガイドラインの大多数は、4週間の漸減では速すぎると考えています。 4週間では薬がない状態に体が適応するのに十分ではありません。実際この急速な漸減法は、ベンゾジアゼピンを長期間処方された患者の少なくとも32〜42%には効果がなく90%が離脱症状を経験していることが、ある研究において示されました。
この種の急速な漸減によって遷延性離脱症候群(PAWS)を発症する多くの例があります。この離脱症候群は18〜24か月、場合によっては数年続く可能性があります。よりスローで小刻みな減薬でのみ、離脱の重症度とPAWSのリスクを減らすことができます。さらに急速な漸減では発作や死のリスクもあります。
身体依存患者はまた、ベンゾジアゼピンに対して重度の感作を起こしている場合あるため、投与量のわずかな変動でさえひどい苦痛を引き起こすことがあります。したがって、錠剤を半分に割るといったやり方では微量の不正確さがあり、漸減過程において症状が変動し不安定になり悪化する可能性があります。
一般的なもうひとつの漸減方法は、1週間に1日ずつ投与を減らしながら数週間かけて中止にもっていく、というものです。このプロトコルは、毎週1/4から1/2に減らす漸減法と同じ問題を引き起こします。このアプローチでも遷延性離脱症候群が数か月~数年つづく患者クラスターを生み出す可能性があります。つまり、投与をスキップしたり投与間の時間差を長くしたりすると、薬物有効成分の血中濃度レベルの大きな変動が生じ、結果として服用間離脱症状を頻繁に繰り返すことになり、意味のない苦痛をもたらすことになります。血中濃度レベルをゆっくりと慎重に、着実に低下させることが重要です。
安全な中止のための漸減方式として、錠剤ドライカット方式または液体タイトレーション方式のいずれかがあります。同時に、カットアンドホールドまたはマイクロテーパーという減量方式もあります。
残念ながらほとんどのベンゾジアゼピン薬は、安全な中止方法と互換性のある形で製造されていないため、安全な中止方法では錠剤をうまく扱うしかありません。このドキュメントで述べる方法は、アシュトンマニュアルとグルート医師によるテーパリングストリップ、そして多くの患者によって考え出されたものです。行う前にはかならず信頼でき知識のある薬剤師に相談する必要があります。最も信頼性が高くかつ安全な液体タイトレーション法は、製薬メーカーによる液体製剤を使用することになりますが、患者が自分で行う方法も多くの患者にとって効果的であったことが報告されています。
カットアンドホールド法では投与量を階段状に減らし(現在投与量の5〜10%以下ずつ)、減らした後発生する症状が治まるまでいったんステイします。通常ステイ期間は数週間になります。
オンラインサポートコミュニティでは、離脱症状を軽減するために漸減プロセス全体で投薬を均等に減らせるようさまざまな「マイクロテーパリング法」が編み出されました。マイクロテーパリングとは、1日あたりマイクログラム(訳注:ミリグラムの1000分の1)といった超微量ずつの減量を行い、トータルで毎月5〜10%ずつ減量できるようにするものです。非常に過敏な患者にとっては、毎日の超微量減量であれば階段状の減量よりも肉体的および精神的な混乱を回避できます。減量を記録するために毎日のログ付けが必要になります。
錠剤ドライカットによる漸減は、液体タイトレーションの利便性の問題や導入の複雑さからより好まれる方法です。ドライカットでは、ピルカッター、やすり、かみそりを使用して錠剤を削り、多くの場合ジュエリースケールなどの秤を使って錠剤の重さを測りながら減量していきます。錠剤ドライカットによる漸減は、マイクロテーパリング(マイクログラムずつ頻繁な減量を行う)およびより大きな階段状のカットアンドホールド(大きなミリグラム量をある程度一気に減量しその後ステイする)いずれにも使われます。
このドキュメントで述べる方法は、アシュトンマニュアルとグルート医師によるテーパリングストリップを除いて、医学的素人である患者によって開発されたものであることを忘れないでください。服用を変更する前にはかならず信頼でき知識のある薬剤師に相談する必要があります。最も信頼性が高くかつ安全な液体タイトレーション法は、製薬メーカーによる配合液体製剤を使用することになりますが、患者が自分で行う方法も多くの患者にとって効果的であったことが報告されています。
アシュトンマニュアルではカットアンドホールド法が示されています。これはおそらく、ベンゾジアゼピンコミュニティで最もよく知られ利用されている方法です。マニュアルは当サイトから無料で入手できます。成功率は90%と報告されています。アシュトンプロトコルでは、長い半減期を重視するためジアゼパムを使用または置換して漸減することを推奨しています。ジアゼパムの最大半減期は200時間で、インタードーズ離脱症状(服用と服用の間に発症する離脱症状)という副次的な問題を防ぐことができるでしょう。さらにジアゼパムは、新しい派生ベンゾジアゼピン(訳注:アルプラゾラム、ロラゼパム、クロナゼパムなど)に比べて、用量の小さい錠剤があります。クロナゼパムの半減期は中程度であり利用可能な最小用量は0.125mgです。アルプラゾラムは半減期が短く最小用量は0.25mgです。これらは「少量」のように見えるかもしれませんが、ジアゼパム等価量で考えるとそんなことはありません。0.125mgのクロナゼパムは2.5mgのジアゼパムに相当し、0.25mgのアルプラゾラムは約5mgのジアゼパムに相当します。この用量から中止にもっていくことは推奨されていません。利用可能な最低製造用量の4分の1よりもさらに小さくする必要があります。利用可能な錠剤のままでは漸減が難しいというテーマについては、Why Currently Available Benzodiazepine Doses Prevent Safe Withdrawal (訳注:「利用可能なベンゾジアゼピン錠剤が安全な離脱に向かないワケ」)を参照してください。
いかなる推奨ガイドラインにおいても、減量に対する個々の反応に応じて、漸減ペースを患者の意思を最優先にしておくことをとても重要視しています。症状が重度である場合は、症状が治まるまで減量を数週間中断(ステイ)することがあります。多くの場合、ステイによって問題が解決し患者は漸減を再開することができます。結果としてベンゾジアゼピンからの離脱プロセスが、予想よりも長くかかることは珍しいことではありません。
アシュトンは、半減期が長いためジアゼパムへの置換を推奨していますが、他のガイドラインでは、離脱症状が許容できる場合はそのまま服用中のベンゾジアゼピンで漸減していくことを推奨しています。一部の患者はジアゼパムにうまく反応しません。さらに、アシュトンマニュアルは多くの患者にとって速すぎると報告されており、また、一度に行う減量幅が大きすぎると感じる人もいます。ジアゼパムへの段階的な置換に数週間かかる場合もあります。このことは、痛みを伴う人生をかけたプロジェクトに時間と負担を追加することになります。ベンゾジアゼピンからの離脱はしばしば多くの複雑な症状を引き起こすため、それが副作用なのか、それともベンゾジアゼピンへの長期暴露によって引き起こされた神経適応の反応なのかを見極めるのは難しいです。アシュトンマニュアルで多くの人々が離脱に成功したことは証明されています。しかし患者と主治医は、アシュトンプロトコルをカスタマイズしたり、次に説明するような他の漸減法を検討することについてもオープンであるべきです。
ヘザーアシュトン教授によるアシュトンマニュアルについての言及(2006年4月、バンクーバーでの講演より)
ベンゾジアゼピン離脱方法に新オプションが加わりました。オランダのピーター・グルート医師によって開発されたテーパリングストリップ(TAPERING STRIP®)です。 これによりドライマイクロテーパリングが可能になります。 漸減率は患者の要望に応じて調整することができ、事前にオーダーすることができます。 提供可能なベンゾジアゼピンは、アチバン(ロラゼパム)、バリウム(ジアゼパム)、クロノピン(クロナゼパム)、セラックス(オキサゼパム)、レストリル(テマゼパム)、アモバン(ゾピクロン)です。テーパリングストリップはオランダの事業会社であるため利用できるかどうかは国によって異なります。 サイトでは患者の国の法律に従って、処方箋を添えてオランダ国外に発送すると述べています。 納期は1週間とのことです。
1日または数日ごとに0.001〜0.003グラムといった微量ずつを減量していくものです。この方法は最初は仰々しいかもしれません。いくつかの異なるアプローチがあり、ベンゾバディのようなサポートグループでやり方を説明している動画や文献があります。アシュトンマニュアルの減量ペースでは耐えられないが、何らかの理由で液体タイトレーションが合わない多くの患者がこの方法を選択します。
液体タイトレーションによって、より小さな減量幅と頻度でさらに緩徐な減薬が可能になります。1日に複数回の投与も可能なため服用間離脱が緩和され、毎日のマイクロテーパリングを実施できます。
中止に至るプロセスで、徐々に減薬量を大きくしていくわけです(ビーカーのサイズ、および薬物と液体のmg/mL比つまり濃度は、必要に応じて調整し漸減ペースを落とすことができます)。
このドキュメントで述べる方法は、アシュトンマニュアルとグルート医師によるテーパリングストリップを除いて、医学的素人である患者によって開発されたものであることを忘れないでください。服用を変更する前にはかならず信頼でき知識のある薬剤師に相談する必要があります。最も信頼性が高くかつ安全な液体タイトレーション法は、製薬メーカーによる配合液体製剤を使用することになりますが、患者が自分で行う方法も多くの患者にとって効果的であったことが報告されています。
薬が経口液剤として提供されていれば、そのまま液体タイトレーションに使えるので理想的です。
たとえば、経口ジアゼパム溶液はRoxane Laboratories Inc.から入手できます。5mg/5mL(1㎖あたりジアゼパム1㎎)で提供されており患者に非常に役立っています。多くの漸減オプションが可能です。1mLのシリンジを使えば、たとえば毎日ないしは3日ごとに総投与量の0.05mg~0.1mg減量した量を測定し服用できます(減量サイズは個々の反応や総用量、および最適減量率によります)。
さらにジアゼパム溶液は安全に水と組み合わせて希釈できます。経口ジアゼパム溶液が合わない患者は、元々服用していたベンゾジアゼピンの液体化合物の処方箋を使用することが可能かもしれません。行う前にはかならず信頼でき知識のある薬剤師に相談して適切な指示を受けてください。
「OraPlus」などのサスペンドビークル(訳注:薬物を溶かすのに用いる溶媒のこと)は、メーカーの液体製剤、粉砕した錠剤、多くのベンゾジアゼピン細粒と組み合わせることができます。調合薬剤師は、ベンゾジアゼピンごとに適切な懸濁剤を特定するデータベースにアクセスできます。液体化合物は他の漸減法と比較して、患者が漸減速度をコントロールすることを容易にします。International Academy of Compounding Pharmacists か Professional Association of Compounding Pharmacistsで適切な薬剤師を探すことをお勧めします。
調剤薬局に頼むのではなく、自宅で自分で配合することもできます。しかし、市販の経口液剤や安定性試験製剤を使用して調製された液体化合物とは異なり、効力や安定性が担保されないことに注意する必要があります。自家製ですと徐放性はなく保護コーティングも施されていないということになります。
自家製の液体を作るために、プロピレングリコールのような溶媒やOraPlusやOraBlendなどの市販のサスペンドビークルを使用します。
配合方法としては以下のようなものになります。たとえば、1mgの薬剤:2mLの溶媒:8mLの水、といった具合です。ベンゾジアゼピンが異なれば溶媒への溶解度も異なるため、正しい比率は使用するベンゾジアゼピンと溶媒によって異なります。ベンゾジアゼピンと溶媒の正しい比率を取得するために、必ず信頼できる薬剤師に相談してください。保管についても同様です(使用前によく振る、光から保護する、冷蔵庫で低温保管 、〇日後に廃棄する、等)。
オンラインサポートコミュニティでは、「水溶液タイトレーション法」または「廃棄法」として知られている方法があります。液体配合法では必要な摂取量を正確に測ってそれを服用しますが、水溶液タイトレーション法では一定量の液体を廃棄して残りを摂取します。
水溶液タイトレーション法は、懸濁ビークルに対する不耐性などといった要因のため配合液体を許容できない一部の患者によって使用されます。
錠剤は粉砕するかもしくは事前に用意された一定量の牛乳または水の中で崩れます。シリンジを使用して測定された量(mL単位)の液体をこの懸濁液から取り出して廃棄し、残りを摂取します。従来1mL = 1日であることが多いため、300mLのビーカーを使うと完了までに300日かかるということです。さらにステイも必要でしょう。
この方法の欠点は、大部分の薬剤が水溶性ではない(水に完全に溶解しない)ため、それは懸濁液(攪拌された液体)になり、薬剤を液体中に完全に分散させるためによくかき混ぜる必要があることです。1日に複数回投与する場合、それぞれが不均一になる可能性もあります。必ず信頼できる薬剤師に相談して適切な指示を受けてください。
前述したように、緩徐な漸減のために設計されていない処方薬をテーパリングすることはしばしば困難です。一般的なガイドラインは2〜4週間ごとに現在服用量の5〜10%を超えない範囲で減量していくというものです。エドワード・シュワイツァー医師らによる研究では、多くの医師が週に25%ずつの減量を行いますがその失敗率(ドロップアウト率)は32〜42%になります。
長時間作用型ベンゾジアゼピンへ置換する際にトリッキーで気を付けなければならないのがジアゼパム換算値です。 アシュトン教授は推定換算値を作成しました。この値は他の換算値や医師の意見と大きく異なる場合があります。患者それぞれに最適な値を見極めることが重要です(まず保守的な換算値を試し、足りないようであれば十分な用量まで増やすことを許容する必要があります)。オピオイドと異なり、ベンゾジアゼピン等価量はFDAによって研究されておらず、またその研究を義務付けられておらず、個々の最適値は異なる場合があります。
現在、ベンゾジアゼピン離脱の症状を緩和するためのFDA承認薬はありません。ニューロンチン(ガバペンチン)、リリカ(プレガバリン)、カタプレス(クロニジン)、バスパー(ブスピロン)、抗うつ薬などの追加薬が提案される場合がありますが、それらは必要ではありません。離脱補助薬として有効性を示すエビデンスはほとんど、またはまったくなく、それ自体の漸減が必要になったり、服薬により悪影響が生じる場合もあります。BNF(英国国民医薬品集)のガイダンスでは「ベータブロッカー、抗うつ薬、抗精神病薬の追加は可能な限り避けるべきです」と述べています。
ベンゾジアゼピンサポートグループの何千人の人々から報告を受けてきたベンゾジアゼピンインフォメーションコーリションの経験からは、ベンゾジアゼピン離脱中は他の薬物に対し複数の感作を発症し離脱症状を悪化させる可能性もあり、ベンゾジアゼピン離脱後にこれらの薬物についても独自の長いテーパリング減薬が必要になること多いとわかりました。十分にスローな患者主導の漸減であれば、他剤の追加は通常必要ではなく効果もありません。
多くの患者が、ベンゾジアゼピンの半減期に応じて1日に数回に分けて服用することが役立つと感じています。 たとえば、ジアゼパムを服用している患者は1日2〜3回均等量に分割することで恩恵を受ける可能性があります。クロナゼパムであれば1日3〜4回にすることで恩恵を受ける可能性があります。一方、ロラゼパムの場合は1日4〜5回にする必要があるかもしれません。 アルプラゾラムであれば安定した血中濃度を維持するために1日あたり5〜6回の服用が必要になる場合があります。1日におけるすべての服用を可能な限り均一に保つ必要があります。 均等かつ定期的に服用することで、1日を通して服用間に深刻な「低下」、つまりインタードーズ離脱(服用間離脱)を経験せず、ベンゾジアゼピンの漸減を成功させる可能性が高くなります。
ベンゾジアゼピン中止において最も重要なことは患者の安全です。痛みを伴う離脱を回避するパーフェクトな方法はありません。そのため、最初から身体依存を防ぐ処方をすることが重要ですが、ここまで述べてきた方法の多くは患者にとって認容可能な漸減を可能にし、患者の離脱成功とその後の回復の可能性を最大化します。患者が奇異反応を起こした場合など急速な離脱が考慮されることがありますが、そのようなケースはかなり稀です。多くの患者はできるだけ早く薬をやめたいという、もっともな欲求を持ちますが、ベンゾジアゼピン身体依存ではこれは非常に危険なアプローチです。主治医と緊密に協力しあって行う場合でも、限られた医療支援で行う場合でも、患者は自分にとって最もリスクレスな速度で漸減する必要があります。法律順守患者に対し、患者自身の意志に反した減薬をさせたり、強制的に離脱させたりしてはなりません。もし患者がベンゾジアゼピンからの離脱を決めたなら、これまで述べてきたように、急減薬、一気断薬、一気減薬といった危険な行為を行うことなく離脱を達成する多くの手段があるのです。
(翻訳&注釈:ベンゾジアゼピン情報センター 管理人)