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ベンゾジアゼピン情報センター 管理人
【閲覧注意記事】
わたし管理人が経験したベンゾジアゼピン離脱症状を記録しておきます。減薬を進めている何年も経った現在、急減薬による断薬直後の地獄のような離脱症状について当時の体感記憶はだいぶ薄れてしまっています。完全になくなる前に残しておこうと思いました。なお、図、絵、音を用いてなるべくリアルな表現を試みています。現在服薬中・減薬中、または精神的に不安定な方は閲覧しないことをお勧めいたします(減薬に必要な知識は「一般情報」および「患者の方へ」メニューにある記事だけで理解できるようにしてあります)。
Triger warning
This article describes my withdrawal experiences with pictures, photos and sounds. Let viewers discretion be advised.
平衡感覚の異常なのか、歩いていると前につんのめる。軽度な焦燥感もあり気持ちが異様に前へ前へと焦っているせいもあったかもしれません。そのため向かってくる歩行人とぶつかりそうになる頻度が妙に多かったです。
前つんのめりがさらにひどくなると離人感(Derealization)になりました。やはり歩いているときに特に感じました。精神と身体が同期していない感覚(Feelings of the spirit being out of synchronization with the body)も似たものかもしれません。離人感の気持ち悪さはうまく表現できないです。
地震が起きているわけではないがそのように感じる。実際、地震は頻繁に起きてるので区別がつかないわけです。座っているときに感じます。本当に地震の場合は家の壁かけ時計が揺れるので、それで地震なのか離脱症状なのかを区別していました。
凝りではなく、こわばりです。凄まじいこわばりで、まるで背中全体が鉄版になったかのようです。ノミで砕いてほしいと思いました。
マナーモードにしたスマフォが体内の横隔膜の中心あたりに埋め込まれてブルブル震えている感覚。CNNドキュメンタリー番組 リサ・リンの「これが人生」- ベンゾクライシス で当事者クリシーが語ってるように、彼女も同じ症状を経験しています。たいてい仰向けになっているときに起こります(寝る前とか)。それほどキツい症状ではなかったが普通は病院に駆け込むでしょう(そして異常なしと言われるでしょう)。奇妙で気持ち悪いものです。
頭痛をさらに重症化したもの。頭痛もひどいがこれは人との会話は不可能な痛さです。これがさらに重症になると、脳が破裂しそうな感覚に移行します。
わたしにとっては最も厳しい症状のひとつでした。こちらの動画の5分15秒あたりで元軍人の男性が「feels like my heads explode(脳が爆発しそうだった)」と言っていますが同じものだと思います。脳より頭蓋骨のほうが固いですから、脳が頭蓋骨を割って外に飛び出して爆発することができず、頭蓋骨内で「ベシャッ」と潰れてしまいそうになるのをなんとかこらえる、という感じでした。こらえてどうにかなるものでもないのですが。それがさらに重症になると、クリスティーンの場合のように失神してしまうのだと思います。
耳鳴りがさらにひどくなったもの。耳鳴りですと耳から鳴っている感覚で音色も「蝉の鳴き声」や「ボンボンボンという低音」と様々なようです。しかしベンゾジアゼピン離脱症状の耳鳴りは高音で金属音。アシュトンマニュアルでは「音の針( "needle of sound" piercing deep inside head)」と表現されています。針の土砂降り音といった感じです。私の場合はさらに激しくなり、ジェット飛行機が離陸する前にエンジンを高速回転させるときの「ヒーーーーーーーーー」といった音が加わり、音源は後頭葉にあるように感じました。音量はiPhoneを2台使って測ったところ90~100デシベルほど(参考:「騒音の大きさの目安」)。24時間鳴りやむことはないので気が狂いそうになるし、もちろん寝ることはできません。これでは数年の減薬に耐えられないと判断し、リボトリール0.5mgを追加投与しました。(フルニトラゼパム再服薬から2か月後。その後、主治医にジアゼパムの追加処方を頂きリボトリールをジアゼパムに置換)。
※ その音を再現してみました → mp3ファイル(nounari.mp3)ダウンロード
だいぶ似た音を作れましたが「ザー」というノイズ音はもう少し鋭い金属的なものになります。この音を線路のガード下の騒音レベルまで音量を上げ(周りに気を付けて、スマフォの音量を最大にしてみてください)、さらに音圧を追加すると実際に経験した脳鳴りに近いものになります。これが24時間脳内で鳴りっぱなしになりました。
ゆっくり書くのがむつかしい(Difficulty in writing slowly)
フルニトラゼパムを再服薬してからジアゼパムを追加投与する間の、まだ上記のような症状がある状態で書いていた日記です。汚い字ですが物理的に手が震えるということではありません。例えると、墜落直前の飛行機に乗っていて、家族に遺書をメモろうとしても焦ってまともな字が書けない。そのような精神状態が24時間つづく、そんな状況です。
精神症状は身体症状よりもさらに厳しいと思います。
ただの焦りとは違います。極度の、耐えることが不可能な異次元の焦りです。ドトールでコーヒーを飲んで落ち着くつもりが、激しい焦燥感のためと5分と座っていられず店外に飛び出します。おそらくこれがさらに重症化し、振戦も伴うとベンゾジアゼピン離脱症状としてのアカシジアになるのかな、と推測します(アカシジア参考:動画「クリスティーンのロラゼパム離脱誘発性アカシジア」)。
この極度焦燥感を数回経験して、もはや耐えるのは不可能とフルニトラゼパム再服薬を決意しました(再服薬によって離脱症状の悪化は止まりましたが以前厳しい状況でした(上記の脳鳴りや脳破裂感)。2か月後、自死する前にやり残している手はないか?と極限の状態で思案し、ストックにあったリボトリール0.5mg錠を追加投与し、ようやく認容可能なまでに症状が落ち着きました。(その後、リボトリールはジアゼパムに置換)。
他にも、
咳喘息様症状(Cough asthma)
恐怖感
頭痛
高血圧(2~3週間でおさまる。生きてきてずっと低血圧~普通なので???!となる)
ふらふら感・眩暈の軽いもの
頻脈(胸がドキドキして頻脈だと思うが、自分で手首の脈を測ると正常)
頻尿
倦怠感
微熱感
インフルエンザ様症状
ブレインフォグ(Intense fuzzy feeling in the head)
などがありましたが、ベンゾ離脱症状未経験の方がイメージしにくいものに絞って取り上げました。
経験してないものの、うっすらとその入り口だけ体験してどういうものか想像がつく症状を述べます。
シャワーを浴びたり着ている服の袖が触れただけで激痛が走る。これは次のように考えれば想像しやすくなります。
通常、神経が痛みを感じるのは外傷があってこそですが、ベンゾ離脱症状の場合は興奮系神経伝達物質が直接内側から神経を刺激し激痛になるものです。ですので外側から見ても誰にもわからず、神経系内(シナプス間隙を通過する)伝達物質を計測する検査方法は存在せず、当事者本人が訴えても誤診されることになります。
例えば、このように普通に見えても…
実際はこのような状態と同じ痛みが起きていると思います。袖が触れただけでも痛いはずです。
この火傷画像の腕はメイクを施して再現したもの
これが例えば目にきていたらこのような状態でしょうか。
出典:RADIO HAURAKI
この画像は手術中のものですが、ベンゾによる神経変性は数年間かけて復元されるものなので、手術はできず麻酔を24時間365日打ち続けているわけにもいかず、回復まではこのまま我慢するしかないような状態になるわけです(ある方は火箸を目に突っ込んでいるような痛み、と表現していました)。
わけもなく残虐な考えが湧くこと。単なる思考ではなく、“残虐な行為への衝動”が自我意識とは別に沸き起こります。ベンゾ薬害を訴え日本で最高裁まで戦ったダグラス・ウェイン氏は、この種の離脱症状について自身の体験をこのように述べています。「I can recall nights when my mother and I were sitting in the lounge watching television. 中略... I kept repeating to myself “I hope I don’t lose control and attack mum, I hope I don’t lose control and attack mum….”(訳:ある夜、母といっしょに居間でテレビを見ていました。…中略…わけもなく母に殴り掛かりそうになる自分を抑え、自制心を失わないようひたすら祈っていました)」(参考:Benzo Case Japanより)
他にもあくまで例えですが、飼っているペットを2つに裂いてみたい、などがあるかもしれません。攻撃・恐怖・情動反応などを司る偏桃体が興奮性シナプス後電位により異常活性し、残虐記憶(例えば北斗の拳のキャラクターが引き裂かれるシーンの記憶など)と関連付けられることによって起きる衝動など。
あくまで例え。結びつく記憶は、過去観たことのある映画シーンなどの場合もあるでしょうし、意識的には過去記憶や潜在意識との結びつきを自覚できない衝動もあると思います。
出典: http://kaikoswitch.blog.jp
わたしが経験しておらず、かつ想像しにくい離脱症状として、うつ症状、希死念慮、アカシジア、むずむず脚症候群、広場恐怖症、認知障害、などがあります。
参考:ベンゾジアゼピン離脱症状一覧
非ベンゾジアゼピン薬のゾピクロン(商品名アモバン)ユーザーであった。2015年後半体調悪化し、さまざまな検査で異常なしであったため、食事内容を立て直しお酒などリスク因子について調査しひとつひとつ排除していく。その過程でベンゾの危険性と、非ベンゾジアゼピンもベンゾファミリーのひとつであることを知り減薬を決意。 中途半端な知識から最強ベンゾのひとつフルニトラゼパム(商品名サイレース、ロヒプノール)に自己判断で置換(最大の失敗)。フルニトラゼパムの急減薬で生き地獄のような離脱症状を経験する。その後フルニトラゼパム再服薬および増薬(ジアゼパム10mg)が奏功し”ある程度”安定化。主治医の協力のもとマイクロテーパリングにて減薬を始める(2017年2月)。 フルニトラゼパムの減薬は終了(2020年1月)。 現在ジアゼパムを減薬中。本職はエンジニア。
減薬記録はこちら。
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