書籍『ベンゾ系睡眠薬・抗不安薬の安全な離脱方法 改訂版』(A5版284ページ)販売中)

    水溶液タイトレーションの方法

    著者:

    ベンゾジアゼピン情報センター管理人

    投稿:2019年5月4日

    ※ 水溶液にすると薬に反応しない方がたまにいらっしゃいます。減薬を進める前に必ず、水溶液にしても通常の服薬方法と同じ効果があるかどうかを1週間~3週間確認し、合わない場合はすぐに元の服薬方法に戻してください。そして減薬はドライカット(細粉法)やドライマイクロテーパリングで減らす方法に方針転換しましょう。
    参考ベンゾジアゼピンテーパリング戦略とソリューション【最新版】

    わたしが行っている水溶液タイトレーションでの減薬方法を説明したいと思います。
    用意するものは、

    • 100㎖のビーカー
    • シリンジ
    • かき混ぜるスプーン(アイスクリームを食べるときのスプーンで十分)

    以上です。
    100㎖のビーカーとシリンジはアマゾンで買いました。
    ビーカー
    イワキ メジャーカップ 計量 ガラス 100m
    シリンジ
    ミネシマ インジェクター 1・2.5・5ml 3個セット

    100mlでなくて、もっと大きな200ml、300mlですとさらに微調整ができますが、寝る前にたくさん水分とると夜尿が増えそうでしたので、わたしは100mlのビーカーでできる限りの調整をしています。
    シリンジは、10ml、20mlといった容量のおおきなシリンジもあり、減薬が進むと作業が簡単にはなりますが、容量の大きいシリンジだと誤差も出やすいです。たとえば50ml抜く段階にきた時も、5mlのシリンジを使って10回吸い出しています。それほどの微調整を必要としない方はもちろん大容量シリンジを使用して構わないと思います。
    それではやり方を順に説明します。
    ビーカーを用意します。

    ぬるま湯を注ぎます。水でもいいですがぬるま湯の方がはやく錠剤が崩れてかき混ぜやすくなります(熱湯の場合は水を足してください。熱湯のままだと、蒸発してすぐ量が減ります)。職人技になるのですが、100ml丁度に調整します(いつも同じテーブルで測ります。傾きクセなどが多少はあるはずなので)。

    逆側のメモリも見て、100mlちょうどか見てみます。毎日やってると、右側のメモリと左側のメモリが微妙にズレていることがわかってきます。要は、完全に100mlにするのが目的ではなく毎日変化のない量にするのが目的なので、「これがわたしの100ml」という分量を毎日作れれば十分です(いまでもわたしは0.5ml程度の誤差は出ます)。微調整はシリンジを使ってください。

    次におクスリを用意します。わたしは調剤薬局でパウダーにしてもらっています。(フルニトラゼパムのパウダーです)

    袋の内壁にくっついている粉を下の方にすりおろします。

    ビーカーに入れます(扇風機の風などで吹き飛ばされないようにしてください)

    入れました。青いです。なぜ青いかわかりますか?着色料がついているからです。フルニトラゼパム(=ロヒプノール、サイレース)は米国でデートレイプによく使われたので着色料がつけられました。そして法律上麻薬扱いとなり、米国に持ち込むと逮捕・収監されます。麻薬犬の待ち構えている空港ならアウトです。知らなかったでは済みません(ただ麻薬犬の訓練が追い付いてないらしく、素通りできたという報告をよく聞いています)。豪州ですと、ベンゾ系薬すべてイミグレで申告制となっています。

    スプーンでかき混ぜて撹拌します。

    ベンゾジアゼピンは脂溶性で水に溶けません。しかしパウダーを撹拌すると、写真ではわからないと思いますが、完全に溶けているように見えます。ただし、フルニトラゼパム1mg錠の重量は104mgあって、添加物(結晶セルロースとか)がほとんどです。クスリとしての有効成分はこのうち1%未満なんですね。しばらくして底に沈殿する白い細粉はすべて添加物です。薬物分子は目に見えません(溶けないが十分攪拌された水溶液を“懸濁液”と言います)

    この日は17.5ml抜くので、5mlのシリンジと2.5mlのシリンジを使って抜き取ります。抜き取った液体は捨てます。

    出来上がり。寝る前に飲みます。

    こうして、1日あたり0.5mlづつ抜き取る量を増やしていきます。つまりフルニトラゼパム1mgをだいたい0.005mgづつ、だから減薬ペースは1日0.5%です。その減薬量を4~5日増やしつづけて2日脳休めしたりするので2~2.5%/週くらいの減薬ペースです。後半はさらにペースを落とし、なだらかにソフトランディングしていくのがコツです。

    以上です。慣れれば2~3分で終わる作業です。
    頭がこんがらがる・・・さらに詳しく!という方、こちら

    動画で観たい場合はこちら↓で分かりやすく実演されています。
    水溶液タイトレーション
    出典:れみのメンタルヘルスチャンネル


    わたしの場合、減薬で脳への負担がキツいとまず頭痛がします。やはりどうしても耳鳴りの音量の変化は指標になっていません。したがってちょっとうるさいくらいでも減薬をすすめることはよくあります。カラダのダルさなどの方がステイの目安としては合っているような気がしています。ステイに関しても、風邪以外で1か月にわたるステイは経験しませんでした。ぜったいとは言えませんが、かなり微量づつの減薬をしたおかげかもしれません。

    (2018年4月管理人記)
    現在フルニト0.33mgまで減っています。
    つまり100㎖のビーカーから67㎖を抜いています。
    減薬ペースは少し落ちて、1か月あたり0.05mg~0.07mg程度の減薬ペースとなっています。
    (2019年4月管理人記)
    現在フルニト0.0320mgまで減っています。2~3日に0.001mgの減薬ペースです。
    (2019年10月管理人記)
    現在フルニト0.0038mgまで減っています。2日に0.0002mgの減薬ペースです。
    (2020年1月18日管理人記)
    フルニトラゼパム断薬。参考:減薬記録ページ

    【ヤスリで削っていく方法】
    ※ 水溶液タイトレーションがどうしても合わない方はヤスリで削っていく方法もあります。スケール(秤)の精度は数千円で買えるものだと残念ながら誤差があります。離脱症状のキツい方はどうしても超微量づつの減薬でないと前に進めないので、少しお高い精密秤が必要になるか、乳糖を足して嵩上げするなど工夫が必要かもしれません。ドライカット(細粉法)での減薬方法のページをご覧ください。


    著者:ベンゾジアゼピン情報センター管理人
    ベンゾジアゼピン情報センター管理人

    非ベンゾジアゼピン薬のゾピクロン(商品名アモバン)ユーザーであった。2015年後半体調悪化し、さまざまな検査で異常なしであったため、食事内容を立て直しお酒などリスク因子について調査しひとつひとつ排除していく。その過程でベンゾの危険性と、非ベンゾジアゼピンもベンゾファミリーのひとつであることを知り減薬を決意。 中途半端な知識から最強ベンゾのひとつフルニトラゼパム(商品名サイレース、ロヒプノール)に自己判断で置換(最大の失敗)。フルニトラゼパムの急減薬で生き地獄のような離脱症状を経験する。その後フルニトラゼパム再服薬および増薬(ジアゼパム10mg)が奏功し”ある程度”安定化。主治医の協力のもとマイクロテーパリングにて減薬を始める(2017年2月)。 フルニトラゼパムの減薬は終了(2020年1月)。 現在ジアゼパムを減薬中。本職はエンジニア。
    減薬記録はこちら
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    ベンゾジアゼピン情報センター