Heather Ashton
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【YouTube動画(字幕翻訳付)3分30秒】
アシュトン教授『…私が述べる方法が、唯一のベンゾジアゼピン離脱法だと申し上げるわけではありません、しかし(アシュトンマニュアルは)私のクリニックに通院し続けた患者さん達との密接な診療経験に基づいて作成したものであり、クリニックを閉院した後も、何百人の方々との交流によって確認されたものです。
ベンゾジアゼピン離脱における基本原則は非常にシンプルです。それは、ゆっくりとした投与量の減量と、必要に応じた心理的サポートで構成されます。ベンゾジアゼピン離脱は徐々に漸減されるべきで、急激な減量をしてしまうと、けいれん発作、精神病様症状、パニック反応などを引き起こす可能性があることはよくご存じと思います。
そして減量ペースは、患者さん個々のライフスタイル、パーソナリティ、環境ストレス、服薬理由、使用期間と用量、利用可能なサポート、その他多くの個別要因を考慮してテーラーメイドに調節する必要があります。つまりすべての人に適用できる単一の治療法はありません。なぜなら、患者さんそれぞれがすべて同じではなく、それゆえ減量期間は数週間、数か月、あるいは数年と様々になります。急がないことです。
何年もベンゾジアゼピンを服用している患者さんにとって、本質的に長い学習プロセスになります。私の経験では、最善の結果を得られるケースは、医師ではなく、患者さんが自分自身で減量ペースをコントロールし、自身の認容可能な減量ペースを見つけ出し、進めた場合です。
ほとんどの患者さんが適切なアドバイスと励ましによって自分の離脱プロセスをコントロールできます。
医師と患者が一緒に離脱スケジュールを考案し合意し進めることができますが、おそらく進行状況に応じて減量スケジュールの再調整が必要になります。問題が発生した場合は、減量を止めて数週間そのままにしたり、減量ペースをゆるめたりする必要もでてきます。投与量を上げ戻って後退しないことが大切です。
治療用量内ベンゾジアゼピン使用患者にとって、その離脱サポートは外来診療がベストであり、依存症専門病院での解毒治療といったものは急激な減量になり完全に不適切です。医師の処方により無意識のうちに身体依存形成された患者にとって、違法薬物やアルコール依存症の人々と同じように扱われることは悲劇と言えます。』
(翻訳:ベンゾジアゼピン情報センター 管理人)
英国ニューカッスル大学臨床精神薬理学名誉教授。
1951年オックスフォード大学卒業、生理学学位(BA)を取得。1954年医学資格(BM、BCh、MA)を取得。1956年に医学博士(DM)を取得。1958年MRCP(Member of the Royal College of Physicians, London)、1975年にFRCP(Fellow of the Royal College of Physicians, London)に選出される。
1975年から国民保健サービスの臨床精神薬理学専門医。1994年から国民保健サービスの精神医学専門医。
1965年以来、ニューカッスル大学で研究員(講師、上級講師、教授)および臨床医として、最初は薬理学部、後に精神科に勤務。おもな研究は向精神薬(ニコチン、大麻、ベンゾジアゼピン、抗うつ薬など)が人間の脳と行動に及ぼす影響について。生涯で約250の論文を発表し、そのうち50超がベンゾジアゼピンに関するもの。喫煙、大麻、ベンゾジアゼピンに関するさまざまな政府委員会にエビデンスを提供してきた。
2019年9月15日没