書籍『ベンゾ系睡眠薬・抗不安薬の安全な離脱方法 改訂版』(A5版284ページ)販売中)

    ベンゾ誘発器質性脳症候群

    原文:BENZO INDUCED ORGANIC BRAIN SYNDROME

    著者:

    Perseverance

    投稿:July 15, 2015

    皆さんこんにちは、

    私は、医師達がベンゾジアゼピン遷延性離脱症候群についてまったく知識がないことに困惑しているみなさんのフラストレーションを知っています。これは症状と組み合わせて使用​​される用語の混在が原因かもしれません。国立医学図書館(NLM)および国立衛生研究所(NIH)によって正式に認識されている用語は、「器質性脳症候群(OBS)」です。ここでは、以下を紹介します。
    I ベンゾジアゼピンがOBSを引き起こすという臨床的証拠
    II ベンゾ長期使用で誘発されたOBSは国立医学図書館(NLM)/国立衛生研究所(NIH)によって認識されている
    III ベンゾ長期使用に起因する長期精神障害の存在を裏付けるメタ分析
    IV 精神障害薬の長期投与によって引き起こされる精神障害の状態をより簡潔に表す言葉、OBSという用語を慢性脳障害(CBI)の診断に置き換える提案
    V 仕事が困難な人のために、「器質的精神障害」の下で社会保障障害給付の資格を得るための前提条件のリスト(医師と話し合う必要があります)
    I
    まず、ベンゾ離脱と関連してOBSの存在を確認する必要があります。これはベンゾジアゼピンからの離脱の8例を記載した医学論文からの抜粋です。この症状は、薬物の再服薬によってOBS症状が消失したため、ベンゾ誘発性であると確認されました。
    ベンゾジアゼピン離脱症候群
    カーンA、ジョイスP、ジョーンズAV。
    N Z Med J. 1980年8月13日; 92(665):94−6。 PMID:6107888
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6107888
    「私たちは一般精神科病院で見られたベンゾジアゼピン離脱症候群の8例を報告します。これらは急性器質性脳症候群、顕著なけいれんおよび禁断症候群から成っていました。すべての症例は、処方用量内でベンゾジアゼピンを使用していました。この問題は一般的に認識されているよりもずっと一般的なようです…
    急性器質性脳症候群のすべての症例でベンゾジアゼピンが再服用され、精神状態が著しく改善されたため、診断が確定しました。
    II
    次に、NLM / NIHのウェブサイトMedline Plusは、OBSの原因としてベンゾ睡眠薬からの離脱をリストしています。症状の継続は基本的に非常に長期的であると述べています。
    器質性脳症候群
    更新者:Joseph V. Campellone、MD、神経科、クーパー大学病院、カムデン、NJ。 VeriMed Healthcare Networkによるレビュー。 David Zieve、MD、MHA、Isla Ogilvie、PhD、およびA.D.A.Mによるレビューもあります。
    Medline Plus 2/24/2014
    http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/001401.htm
    原因
    下記はOBSに関連する疾患です。
    薬物とアルコールに関連した症状
    •アルコール離脱状態
    •薬物またはアルコールの使用による中毒
    •ウェルニッケ - コルサコフ症候群(過度のアルコール摂取または栄養不良の長期的な影響)
    •薬物からの離脱(特にベンゾ睡眠薬およびコルチコステロイド)
     予後
    「一部の疾患は短期間で治療可能であるが、その多くは長期的なものであり、時間の経過とともに悪化する。」
    III
    メタ分析は、断薬から6ヶ月後、長期ベンゾジアゼピン使用者の精神障害が持続しOBS診断であることを示しました:
    ベンゾジアゼピン長期使用中止後の認知作用の持続性メタアナリシス
    バーカーMJ、グリーンウッドKM、ジャクソンM、クロウSF。
    アーチクリンNeuropsychol。 2004年4月; 19(3):437〜54。 PMID:15033227
    http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0887617703000969
    メタアナリシスの結果は、長期ベンゾジアゼピン使用者が離脱後に多くの分野で機能の回復を示した。しかし、規範的なデータと比較して認知領域で重大な障害が残っています。本研究の知見は、長期ベンゾジアゼピン療法に関連する問題を浮き彫りにしており、ベンゾジアゼピン使用者は離脱後、認知機能改善の恩恵を受けるかもしれません。しかしながら、レビューされたデータは少なくとも中止後最初の6ヶ月間は完全な機能回復には至らず、6ヶ月以上経過した後は完全回復するかもしくは永久的欠損となることを示唆しています。
    IV
    Peter Breggin博士は、この症状に対して新しい用語である慢性脳障害(CBI)を提案しいくつかの診療所ではOBSという用語が時代遅れになっていることを指摘しています。
    精神科薬による慢性脳障害(CBI)精神科薬による長期治療への意義
    ブレギンPR。
    Int J Risk Saf Med。 2011; 23(4):193-200。 doi:10.3233 / JRS-2011-0542。レビューPMID:22156084
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22156084
    「科学文献と臨床経験を利用して、著者は、トラウマを含む外傷性脳損傷(TBI)、電気痙攣療法(ECT)、および精神薬への暴露によって引き起こされた脳障害を慢性脳障害(CBI)と表現します。これにより、臨床医が精神薬による長期の有害作用をより容易に識別することを可能にする一方で、研究者が問題に取り組む時、たとえば精神薬による長期有害作用といった問題に脳損傷の共通要素という包括的な理解で取り組むことを可能にします。
    すべてのクラスの精神薬の研究で、長期暴露後の人間の精神機能障害と脳萎縮、ならびに細胞の異常な増殖、動物の持続的な生化学的変化についての同様の知見が得られています[5]。ベンゾジアゼピン系については[15、16]、リチウムについては[17]を、抗うつ薬については[18–22]を参照してください…
    慢性脳機能障害(CBI)の症候群
    精神薬を含む精神活性物質への慢性的な暴露の臨床結果は、外傷性脳損傷(TBI)[23]またはポスト - コンシューシブ症候群[24]による脳損傷と非常によく似た結果を生み出します。何らかの原因による脳への全体的な害は、非常によく似た精神的影響をもたらします。脳とそれに関連する精神的プロセスは、電気ショックによる治療[25]と同様に多様な原因(スポーツなど)による怪我、戦時のTBI(トラウマ)、アルコールやストリートドラッグの慢性的な乱用、精神科での多剤治療、および覚醒剤、ベンゾジアゼピン、リチウム、抗精神病薬など長期的な暴露に非常によく似た反応を示します。
    これらの所見に基づいて、私は慢性脳障害(CBI)の症候群と診断を提案しました。2. CBIの具体的な使い方は、アルプラゾラムCBI(Alprazolam CBI)、抗精神病薬CBI(Antipsychotic Drug CBI)、または多発性精神病薬CBI(Poly Psychiatric Drug CBI)のように接頭辞として追加されます。3. 他にも ECT CBI、Polydrug Abuse CBI、およびConcussive CBIといった使い方です。
    …CBIの概念は、器質性脳症候群(OBS)の概念にも似ています。しかし、OBSはもはや診断システムや臨床現場では使用されていません[26]。過去に使用されたとき[27]、それは定義された基準を持つ定義された診断名とされていなかった…さらにCBIのようなニュアンスと広範囲のスペクトラムを持っていなかった。
    …ほとんどの患者は離脱プロセスの早い段階でCBIから回復し始めます。多くの患者、特に子供や10代の若者は完全に回復するでしょう。他の人は何年もかけて回復するかもしれません。回復が不完全であったり、精神的な再発があったとしても、ほとんどの患者はCBIが改善されたことに感謝し、わずかな投薬を続けるか、まったく投薬を受けないことを望みます。」
    V
    最後に、ベンゾ離脱で仕事ができなくなった場合に社会障害保障の資格があるかどうかを確認するための情報を含めました。最初のステップは、OBSの正しい診断を受けるためにあなたの医者にこの情報を提示し、次にあなたが給付を申請するときに社会保障庁にそれを持っていくことです。彼らがあなたを承認するかどうかはわかりませんが、あなたが以下に挙げられているすべての要件を満たしているならば良いチャンスがあると思います。
    社会保障における障害評価
    12.00精神障害 - 成人
    http://www.ssa.gov/disability/professionals/bluebook/12.00-MentalDisorders-Adult.htm#12_02
    12.02 器質性精神障害:脳の機能不全に関連する心理的または行動的異常。病歴および身体検査または実験室試験は、異常な精神状態および病因的に関連すると判断された特定の器質因子の存在を実証していて、以前に獲得した機能的能力の喪失がある。AとBの両方の要件が満たされたとき、またはCの要件が満たされたときに、これらの障害に必要なレベルの重症度が満たされます。
    A. 特定の認知能力の喪失または感情の変化、および医学的に文書化された以下のうちの少なくとも1つの持続性の証明:
    1. 時間と場所への見当識障害。または
    2.短期間(新しい情報を習得できない)、中期、または長期間(過去に知られていた情報を思い出すことができない)の記憶障害。または
    3.知覚障害または思考障害(例:幻覚、妄想)。または
    4.性格の変化または
    5. 気分の乱れまたは
    6.感情的不安定性(例:爆発的な怒りの爆発、突然の泣き声など)および衝動制御の障害。または
    7. 測定された少なくとも15の知的能力の喪失.I.Qが発病前のレベルまたは総合的な減損指数から明らかに神経心理学的試験における重度の障害のある範囲内、例えば、ルリア - ネブラスカ、ハルステッド - ライタンなど。
    そして(AND)
    B.次のうち少なくとも2つの結果
    1. 日常生活の活動の著しい制限または
    2. 社会的機能を維持する上での著しい困難。または
    3.集中力、持続力、またはペースを維持することが非常に困難であること。または
    4. それぞれが長期にわたる、代償不全の反復エピソード。
    または(OR)
    現在の投薬治療によって基本的な作業活動を行う能力の制限および衰弱を引き起こし、少なくともその2年間以上の慢性的な器質性精神障害の記録
    1. それぞれが長期にわたる、代償不全の反復エピソード;または
    2. 精神ストレスのわずかな増加または環境の変化でさえ個人を不全にさせると予測されるような限界調整能力の欠如
    3.そのような取り決めが継続的に必要とされていることを示唆しながら、非常に多大サポートがありながら1年以上機能できなかった事実
    この情報が役に立てばと思います、そしてあなたがたの最高の回復を願っています。

    (翻訳&注釈:ベンゾジアゼピン情報センター 管理人


    著者:Perseverance
    Perseverance

    ベンゾバディにおけるプロフィール:10年間ザナックス(アルプラゾラム・ソラナックス)服薬、その後6年間アチバン(ロラゼパム・ワイパックス)服薬。バリウム(ジアゼパム・セルシン)に置換後、依存専門病院でわずか3日間で減薬される。2011年1月21日ベンゾジアゼピン系薬を断薬。その後ニューロチン、オキシコドン、プロザックなどをテーパリング減薬。
    (訳注:ベンゾバディでPerseverance自身のバックグラウンドについての質問に本人が回答している。電気設計エンジニアであるとのこと。回答の一部を翻訳;「わたしは医療関係者ではありません。わたしのバックグラウンドは電気設計エンジニアです(笑)。しかしベンゾ離脱という厄災にあってやむなく勉強する羽目になって思うのは、人体と電子回路には非常に多くの共通点があるということでした。そのためさまざまな論文や医学文献を水を吸い込むように理解できたかもしれません。」)